皆さんは現場でルールやマナー違反をしているお客様を見つけたときに、どの様なスタンスで接客していますか?
『違反ですよ』という言葉で、いきなり相手が悪いというスタンスで伝えていませんか?
今回の記事では、ルールの案内、マナー違反の注意など、トラブルになりえる場合の接客について、その確率を下げるための方法をお伝えしていきます。
相手(お客様)が悪いと決めつけていませんか?
例えば、『プールサイドでシャワーを浴びてからプールを利用する』というルールがあったとします。(基本的にはほとんどのスポーツジムがこのルールです)
このようなルールの中で、シャワーを浴びずにプールに入ろうとする人がいたとしたらどのようにお声がけしますか?
『シャワーを浴びてからプールに入るルールになっているので、シャワーを浴びてから入ってもらえますか?』
とお声がけすると思った方、要注意です。
トラブルに発展する可能性を自身で高めてしまっています。
最初から正しいルールをご案内するということは、
相手がルールの説明を受けていなかったり、他の特別な事由(たとえば使おうとしたらそもそも出なかった等)があって仕方なくルールを守れなかったという可能性を完全に否定して、その人が悪いと決めつけていることになりませんか?
これでは、相手が話を聞き入れる体制をあえて崩してしまっているのです。
ルールは全国共通ではない
自分のジムで設定したルールが、『一般的な常識に基づいている』と勘違いしていませんか?(ジム側だけではなく、利用者側も同じなので、お互いさまですが。。。)
一般常識というのは非常にあいまいな言葉で、育ってきた環境や過去の経験によって、その人が思う一般常識は変わります。
つまり、人それぞれなわけです。
多くのスポーツクラブを利用した経験がある方なら、『ジムごとにルールが違う』ということを理解していると思います。
スポーツクラブが初めてという方は、いろいろ注意深くなっているので、掲示しているルールやネット上でルールを確認するかと思いまが、過去に他社のジムに通った経験があるとか、あまり細かいことを気にしない方は、そこまで細かくルールを確認しないと想定されます。
また、比較的老舗のジムになると、思いもよらないようなルールが設定されていたりします。
ジムの過去の経緯にもよりますが、マナーと言えるようなこともルール化されていたりします。
- 朝の入館は営業開始前からOK
- ロッカー内は全裸になったらダメ
- 靴はロッカー内に入れる方式
- ロッカー内はどんなスリッパはいてもOK
- ロッカー内は専用のスリッパならOK
- プールは左側通行。追い越しOK
- 階段は右側通行、左側通行が決まっている
- 携帯はどこでつかってもOK
- 食事はどこでもOK
- サウナで塩もみしてもいい
- 飛び込みOK
などなど、いくらでもあげられます。
『郷に入っては郷に従え』という言葉があるように、本来は利用者も『ジムによってルールが違う』ということを理解すると共に、『お客様が経験してきたルールも違う』ということを理解する必要があるのです。
ジムとして、利用者に『非』があるというスタンスでは、お客様に支持されないでしょう。
クラブ側に『非』がある可能性をゼロにしないことが大事
以上のことを踏まえ、ルールの案内・マナー違反注意の際に最初にかける言葉は、
『いかがなさいましたか??』
以外に存在しません。
この、『いかがなさいましたか??』という言葉は、『はなから相手が悪いというスタンスで案内を始めてしまうことを回避する効果』があります。
いかがなさいましたか?に続く言葉は、口にはしませんがこんな意図です。
『(ルールを守らないなんて特別な理由があるにきまってますよね?)』
ルールを知らない可能性や、特別な理由でそうせざるをえなかったということを考慮しており、クラブ側の非である可能性をしっかりと残せています。
『お客様が意図的に悪いことをするはずがない。ルール違反をしているならなにか特別な理由があるはずだ。』
そんな考え方でお声がけすると、トラブルになる可能性が下がります。
また、『いかがなさいましたか?』を繰り返すことも大事です。
基本的に意図的にルールを破る人はいません。
最後まで、『お客様がただルールを破るわけない』を貫きましょう。
最後に、【炎上パターン】と【理想パターン】の会話例を紹介しておきます。
※A→スタッフ B→お客様
【炎上パターン】
A『シャワーを浴びてから入ってもらえますか?』
B『え?いや。。。』
A『シャワーを浴びてからプールに入るルールになっているので、、、』
B『シャワー出ないじゃん。』
A『え??』
B『頭ごなしに注意するってどういうこと?そっちの不備でしょ!!(炎上)』
【理想パターン】
A『シャワーを浴びられませんでしたが、①いかがなさいましたか?』
B『あー。そうだね』
A『シャワーを浴びてから入るというルールはご存じでしたか?』
B『知ってたよ』
A『ルールをご存じなのに浴びなかったというのは、②いかがなさいましたか?』
B『実はシャワーが出なかったんだよね』
A『左様でございましたか。大変申し訳ございませんでした。』
B『こっちこそごめんねー』
この記事を読んだ後は『いかがなさいましたか??』が使いこなせるようになっていると思います。
テクニックというより、マインドの部分が大きいですが、ぜひあなたのクラブのスタッフにも使わせてみてください。