スポーツクラブのマネージャーの仕事って何? とよく聞かれることがありますが、ハッキリと答えられた経験はありません。
この記事では、現在の私の仕事、スポーツクラブマネージャー(会社によっては支配人)のルーティンワークについて、1日の流れに沿って紹介していきます。
フィットネス業界で働くこうと思っている方が、今後のキャリア形成を考えるときの参考になる記事だと思っていただけると幸いです。
この記事を読んだ後は、スポーツクラブマネージャーの仕事内容を知り、スポーツクラブ業界でのキャリアアップに必要なスキルを理解することで、今後の働き方のイメージや必要な自己研鑽ができているはずです。
クラブの施設点検
9:00 出社〜施設確認
必ずこの時間に出社というルールは存在しません。
クラブを運営するにあたって、「大事にしていること」によって、おそらく勤務の時間帯が違います。
- 9時〜18時で固定など、時間をしっかり決めている人
- あらゆる時間帯を確認したいなど、ランダムな時間で働く人
- 本社の営業時間に合わせる人(基本的には本社とのやり取りなどが多いため)
- いつクラブに現れるか分からない神出鬼没な人(笑)
比較的フレックスタイムな感じで勤務につけるのがマネージャー業の特徴です。
出社したらまずは館内、館外を巡回し、不備等がないかどうかを確認し、営業開始に備えます。
不備があったときの対応時間を逆算して、確認場所の優先順位を決めてから行動を開始します。
- 今日のシフトは適正か?
- 清掃は行き届いているか?
- 掲示物に期限切れのものがないか?
- 館外に不審なものはないか?
- 機械室の状態は?
特に機械室関係は営業の要です。過去の上司に、「異変にどうやって気づけるようになるか分かるか?正解は第六感や」とおっしゃる方がいました(笑)シックスセンス!大事ですね。
もしも不備があった場合は、
- 緊急度
- 影響度
- 自分でやるのか?
- 誰かに指示をだすのか?
- 指示を出すなら誰にやらせるか?
などを決めていきますが、慣れてくると朝に確認したシフトも頭に入っているので、その場でどんどん判断出来るようになってきます。
判断するスピードをあげていくことは、業務の効率化にも繋がります。
マネージャーになる前から意識的にトレーニングしていくと良いでしょう。
ただし、今後マネージャーとして良い判断をしていくためには、時間をかけて考えることも大事だと思います。
判断にかける時間は、緊急度や影響度によって使い分けをしましょう。
私が過去に受講したことがある判断スピードをあげるための研修コンテンツとして「インバスケット(←タップするとインバスケットの説明にリンクします)」という研修があります。超おすすめです。
クラブ会員への挨拶
10:00 クラブオープン
特別何もない限りは、玄関(入口)で会員への挨拶をしていきます。
だいたいここでありがた〜いご意見などを頂戴しますが、、、、20分から30分は対応で持っていかれることを覚悟してます(笑)
世間話だけならよいのですが、8割方がご要望だったりご意見だったりします。
- 〇〇をつけろ!
- 〇〇の教育がなっていない!
- 〇〇のプログラムを入れろ!
- このプログラムだと〇〇のプログラムに参加できない!
- 俺は歴代のマネージャーを知ってる!
- 昔は〇〇だった!
- 〇〇はわしが育てた!
というような内容ですが、ここでは話を聞くという行為自体が大事なので、特別何かに対応するというわけではありません。
【コミニュケーション=ガス抜き】です。話を聞かないと大炎上することもあるので、定期的にお話を聞きましょう。また、新しいビジネスのネタが転がっていたり、当然感謝のお言葉をもらうこともありますよ。
メール・発信チェック
11:00 メール、発信チェック
日にもよりますが、平均で10件から20件のメールや本部からの発信を捌きます。
ここで、その日のスケジュールがある程度決まります。
- その場で自分で返信して終わらせられるもの
- スタッフに共有すれば終わるも
- スタッフに振るもの
- 長期的なスパンで計画するもの
特にメールや発信が多いのが金曜の17時頃です。なぜだかわかりますか??
正解は、、、
本社が土日休みだから(笑)
本社スタッフが連休になる前にためてたものを一気に出すからなんです。
業績確認
12:00 業績確認
入会、退会、変更、休会など、会員数や会員単価に関わる数値をチェックしていきます。
この数値がクラブの売上の80%を占めています。
「パレートの法則」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、本当にその法則に則っています。
パレートの法則(パレートのほうそく)は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則。 経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているという理論。 80:20の法則、ばらつきの法則とも呼ばれる。
引用元:パレートの法則 – Wikipedia
パレートの法則は色々な事象に当てはめて考えることができるので覚えておきましょう。
パレートの法則の亜種で、働きアリの法則も有名です。
会員数は増えるほうが良いというのが当然ですが、最近では格安の会員種別も増えてきていることもあり、会員数が増えればいいというものでもなくなってきました。
店舗にはキャパシティがあります。
利用頻度にもよりますが、一定数を越えると混雑感が高まり、会員の満足度も下がります。
満足度が下がると退会者数も増えるため、新たに会員を獲得するための経費(チラシなどの販促費)もかさみます。
スポーツクラブ産業は、いわゆるハードありきであること、市場からみるとサービスでの差別化が難しいことなどから、価格競争に陥ることが多いです。
また、格安の会員種別が増えてきた背景としては、後発優位の業界ということも大きな要因です。
エニタイムフィットネスに代表されるようなバジェット型とよばれる業態の出店が増える中、総合型のスポーツクラブが対抗するには、会員種別の低価格化路線が、最も有効(打撃が少ない)な策となっています。
最近ではコロナ禍ということもあり、いかに人数を増やしすぎないように管理しながら売上を上げていくか?がとても大切になってきています。
オンラインレッスンやショップ商品のECサイトなど、ハードに頼らない新規事業の創出に各社が乗り出しています。
休憩は自由
13:00 休憩
基本的には自由です。
店舗で食べるもよし、外で食べるもよし。ハタオジはクラブで食べるのは避けます。
色々と仕事が舞い込んでくるので休憩にならないのと、周りに気を使わせるのもなんだかなと考えるからです。
外は外で色々と問題が出てきます。
スポーツクラブの商圏参加人数は人口の約3%と言われていますが、クラブに近ければ近いほど商圏参加率は高くなります。
土地にもよりますが、自分が過去に勤めた店舗だと、1キロ圏内でなんと19%。
コンビニに行くだけで必ず会員に遭遇するような確率になります。
「この前〇〇で買い物してたねー」など、会員に言われるのはスポーツクラブスタッフのあるあるネタです。
スポーツクラブの取引先
14:00 取引先との打ち合わせなど
スポーツクラブは様々な業種との取引がありますが、とりわけ多いのが広告業界からのアプローチです。
健康産業はまだまだ伸びしろがあるということだと思います。
ただし、大手の場合は、本部主導で広告関係は進むことが多いので、クラブ単位で決済できる販売促進費の範囲は非常に狭いのが現実です。
人によっては営業の話は聞かないというスタンスの人もいますが、ハタオジは勉強と思って話を聞くようにしています。
マネージャーになると「人から教えてもらう」ことが、極端に減ります。
できる限り、成長の機会を逃さないようにしてみましょう。
スイミングスクールの運営
15:00 スクールチェック
業態にもよりますが、この時間帯から様々なジュニアスクールが始まります。
自社で展開しているものもあれば、他社に委託しているものなど様々です。
大人の会員と比較すると、決まった時間に来館することやレッスンの回数が決まっていること、お客さんはインストラクター次第で継続が長くなるなど、
人の流れをコントロールしやすいため、販売促進もある程度方法が確立されているというメリットがあります。
スクールの種類は様々で、
- スイミング
- テニス
- 体育
- ダンス
- カラテ
- チア
- バスケット
- バレエ
などがあります。
特にスイミングスクールに関しては、コストパフォーマンスに優れており、スイミングスクール単体でも経営が成り立つほど、1度にたくさんの生徒を抱えることができます。
スイミングスクールは、他のスポーツにはない魅力的な商品となります。
その為、スクールビジネスとして大きく発展しました。
子供の習い事をランキング化するようなアンケートでは、長く1位に君臨しているニャ
やはり注目すべきは、「水泳」(28.4%)の人気の高さだろう。学年別に見ると、低学年~中学年までに特に人気で、およそ3人に1人が通っていることになる。男女別に見ると、比較的男子の方が「水泳」に通っている割合が高い。なお、1989年度調査の「よくやるスポーツ」でも、水泳は1位(55.8%)であった。30年経った今でも、小学生にとって「泳げるようになる」ことは大切なことのようだ。
引用元:小学生白書web版/学研教育総合研究所
何のスクールを開講するか?に関してですが、店舗の事情に合わせて検討されます。
- 人気の習い事は何か?
- 店舗のアイドルタイム(売上が上がっていない時間)は?
- 使用可能スペースは?
- 講師の確保は?
- イニシャルコスト(導入費用)は?
- ランニングコスト(運営費用)は?
入会販売促進の実行計画
16:00 販促企画(入会)
その日の人の流れや電話での問い合わせ数や内容、ホームページの閲覧数などを確認分析し、明日以降の戦略等の参考にします。
計画に関しては、1ヶ月前にはほぼ確定していますが、進捗が悪い場合はボトルネックを見つけて、対応変更していきます。
入会を獲得する方法は、自社ホームページへの誘導を目指し、新聞折込広告、地域誌、ウェブ広告などを使います。
最近では、急激にウェブ媒体を使う手法にシフトチェンジしています。
安価な会員種別で獲得せざるを得ない状況になってきており、販売促進の費用も効率的と思われるものを選択するようになりました。
ホームページに誘導したら、そのまま「入会>見学>体験」というバランスで入会動線をひいています。
しかし、コロナ禍ということもあり、安易に集客活動をすることが、既存の会員に対して不信感を与えてしまう可能性があります。
会員種別と料金に関しては抜本的にテコ入れをする必要がありそうです。
マネージャーの業務の中では非常にウェイトが大きい業務ですが、特に分析においては手法が確立されていないというのが現状です。
その理由は簡単です。
単純に統計学の知識がないとことです。
当然、直感とか肌感というのも大事ですが、その感覚が市場にマッチする確率を上げるための土台は、やはり学力です。
主観や過去の経験による判断が分析の礎になっていることがほとんどのマネージャーの状況となってます。
店舗におけるどんな数値を使用し、指標とするかは絶対というものがありません。ハタオジはグーグルアナリティクスでのホームページの閲覧数など、人の主観が入りにくデータに基づいた分析を心がけています。
ただし、接客業でもあるので、数値では測れない部分が多いのもこの業種の特色でもあります。
なので、確立されていないということが一概に悪いというわけではなく、マネージャー次第でクラブの業績が変わるともいえますね。
退社時間
18:00 退社
もちろん日によりますが退社します。
現場のスタッフの場合は、変形労働時間制のパターンもあるので、8時間勤務になっていないこともあります。
この時間からトレーニングするもよし、飲みに行くもよし、マネージャーにより様々です。
現場に出ているスタッフよりも自由度は高いですし、ある程度スケジュールのコントロールがききます。
ただし、クラブは営業しているので油断はできません。
機械の不具合、クレーム、事故など、いつ出社しなければならなくなるか分からないので、心配性のマネージャーは営業終了まで飲酒はしないようです。
余談ですが、スイミングコーチの場合、レッスンが終わったあとがホントの仕事みたいなもので、「〇〇さんからコーチが怖いという電話がありました」「〇〇という取引先から連絡がありました」「〇〇の件についてどうなってますか?」などなど、ため息をつくほどメモがロッカーに貼られるています(笑)