冬季になると、なんとなく疲れやすく感じたり、体の不調が続いたりする方もいるのではないでしょうか。

寒さのせいで、体の免疫力が下がりやすくなり、風邪をひきやすくなったりすることがあります。

また、室内外の温度差で体調を崩すこともあります。

この時期に健康を保つためには、バランスの取れた食事や適度な運動、そして温かい飲み物を摂ることが重要です。

ストレスを溜めないように心がけることも大切です。落ち着いた時間を持つことやリラックスできる環境づくりを心がけましょう。

冬の体調不良の原因のひとつとして、「寒暖差疲労」が挙げられます。

これは、気温の急激な変化によって身体が適応するためのストレス状態になることが原因です。

特に朝晩の温度差が大きい日には、体がそれに対応するためにエネルギーを消費し、疲れやすくなります。

そのため、適切な対策を講じて健康な冬を過ごすことが重要です。

自律神経を乱れさせ、体のさまざまな不調の原因となってしまう寒暖差疲労ですが、どのようなメカニズムで引き起こされるのでしょうか。

ここでは、寒暖差疲労の原因や、寒暖差疲労を溜め込まないための対策をご紹介します。

寒暖差疲労とは?

寒暖差疲労とは、私たちの体が「寒暖差によって疲労が蓄積した状態」を指します。

季節の変わり目に大きな気温の変化があったり、朝と夜とで気温差が激しかったりすると、体は寒暖差を感じて疲労を溜め込んでしまうのです。

人間の体には、暑いと汗をかくように、外気温の高さに応じて体温調節を行う機能が備わっています。

この体温調節の役割を担う神経が「自律神経」ですが、この自律神経が正常に機能するためには、一定以上のエネルギーが必要。

気温差が大きいほどこのエネルギー消費も激しくなります。

気温差が激しい状態が続いてエネルギーが枯渇すると、体も疲れてしまうのです。

寒暖差疲労のメカニズム

寒暖差疲労は、温度の急激な変化によって引き起こされる疲労症状のことを指します。

この疲労は、体が異なる温度環境に適応しようとする際に生じる生理学的な変化に関連しています。

以下に、寒暖差疲労のメカニズムを詳しく説明します。

血管収縮と拡張

  • 寒冷な環境では、体は血管を収縮させて体温を保とうとします。これにより、皮膚からの熱の放射が減少し、体内の熱が保持されます。
  • 一方で、温暖な環境では血管が拡張し、体温を下げようとします。これにより、余分な熱が外部に放出されます。

代謝調整

  • 温度が急激に変化すると、体は代謝を調整してエネルギーの生産と使用を調整しようとします。寒冷な環境ではエネルギーを生産し、温暖な環境ではエネルギーの使用を増やします。

自律神経系の刺激

  • 体温の変化に対応するために、自律神経系が活発になります。寒冷な環境では交感神経が優位になり、温暖な環境では副交感神経が優位になります。

水分調節

  • 温度の変化によって、体内の水分調整も影響を受けます。例えば、寒冷な環境では血管収縮により尿量が減少し、水分を節約しようとします。

免疫機能の変動

  • 寒暖差によるストレスは免疫機能にも影響を与える可能性があります。一般的に、寒冷な環境では免疫機能が低下しやすくなります。

これらの変化が継続的に起きると、体は適応しようとしますが、急激な寒暖の変化には適応が追い付かず、疲労や不調が生じることがあります。

また、これらの生理学的な変化は個人差があり、個々の体調や適応能力によっても異なります。

寒暖差疲労による体調不良のリスク

寒暖差疲労による体調不良のリスクは、急激な気温の変動に対する体の適応が追いつかないことから生じます。

以下は、寒暖差疲労に関連する体調不良の主なリスク要因です。

免疫機能の低下

  • 寒冷な環境への適応や急激な温度変化への対応がストレスとなり、これが免疫機能を低下させる可能性があります。免疫機能が弱まると、感染症への抵抗力が低下し、風邪や他の病気にかかりやすくなります。

疲労感と睡眠障害

  • 急激な気温の変化が継続すると、体が常に適応しようとするため、疲労感が増加することがあります。また、睡眠の質も低下しやすくなります。これにより、日中のパフォーマンスが低下し、生活の質が悪化する可能性があります。

循環器系への影響

  • 寒冷な環境では血管が収縮し、心臓への負担が増加します。これが血圧の上昇や心臓疾患のリスクを増加させる可能性があります。一方で、急激な温度上昇はめまいや血行不良を引き起こすことがあります。

呼吸器系への影響

  • 寒冷な空気は気道を収縮させ、呼吸に影響を与えることがあります。これが呼吸器系の問題を引き起こし、喘息や風邪の症状が悪化する可能性があります。

筋肉や関節の不快感

  • 寒冷な環境では筋肉や関節がこわばりやすくなり、痛みや不快感が生じることがあります。これが運動能力の低下や急激な動きへの適応の難しさにつながる可能性があります。

精神的なストレス

  • 寒暖差による体調の変化が継続すると、これが精神的なストレスとなり、不安や抑うつ症状を引き起こす可能性があります。

これらのリスクは個人差があり、一般的な対策としては、適切な防寒対策や温暖化対策、バランスの取れた食事、十分な睡眠などが挙げられます。

また、特に体調不良を感じた場合には、早めに医師の診断を受けることが重要です。

寒暖差疲労を引き起こす原因や環境

寒暖差疲労を起こしやすくなる気温差は、「前日と比較して5℃以上」といわれています。

季節の変わり目はもちろん、冬場は天気予報などをこまめにチェックして、なるべく気温差を感じることのないよう、服装にも気を付けることが重要といえるでしょう。

また、空調のきいた職場を出入りすることが多いなど、気温の変化を感じやすい生活を送っていると、自律神経が常にフル回転している状態となるため、寒暖差疲労につながるといわれています。

最近は異常気象による寒暖差も激しくなっているため、寒暖差疲労が常態化してしまうという懸念もあります。

寒暖差疲労 耐性チェックリスト

自分の寒暖差耐性はどれくらいなのか、以下のチェックリストで確認してみましょう。

該当する項目数が多いほど、寒暖差耐性の深刻度が高いということになります。

  • 夏の暑さも冬の寒さも苦手
  • 周囲の人と比べて、冷房や暖房などの空調が苦手
  • 気温差が激しくなる季節の変わりめは、体調を崩しがち
  • 寒い場所から暖かい場所に移動すると、顔がほてりやすい
  • 顔が一度ほてると、元の状態に戻るまでに時間がかかる
  • 手や足など、体の一部が冷たく感じることがよくある
  • 冬は体が冷えて、寝つきも悪い
  • 入浴中、湯船に入っても芯から温まるまで時間がかかる
  • 冬は保温下着が不可欠
  • これまで熱中症にかかったことがある、または熱中症に近い症状を感じたことがある

上記10項目のうち該当数が、

1~3個の場合

→寒暖差耐性が比較的高めです。

4~6個の場合

→ある程度耐性はありますが、少し注意が必要な状態。

7個以上あてはまる場合

→寒暖差耐性が低く、対策が必要な状態といえます。

寒暖差疲労を溜めないコツ

ここからは、「冬の生活習慣」「エクササイズ」「食事」の3つに分けて、寒暖差疲労を溜めないための対策を紹介しましょう。

寒暖差疲労を溜め込まないためには、体を内側と外側のどちらからも温めることがポイントとなります。

冬の生活習慣にプラスしたいポイント

毎日の生活の中では、体を効率的に温めることを意識してみてください。

ここでは、生活習慣に取り入れたい3つの対策をご紹介します。

毎日湯船に入る

シャワーで済ませず、毎日しっかり湯船につかりましょう。

入浴することで、体に蓄積された老廃物や疲労物質が取り除かれる「温熱作用」のほか、血液やリンパの流れを改善する「水圧作用」、筋肉や関節をリラックスさせる「浮力作用」の3つの効果を得られます。

お湯の温度は38~40℃程度と、ややぬるめに設定してください。肩までしっかりとお湯につかり、10分以上入浴することがおすすめです。

また、炭酸ガス入りの入浴剤を使うことで、すばやく体を温めることができます。

湯上がり後も温かさが持続して、湯冷めしにくくなります。

蒸気温熱で体を温める

体を温める際は、乾いた熱よりもスチームを含む蒸気温熱がおすすめです。

じんわりとした蒸気温熱は、乾いた熱よりも広く深く体を温めるため、冷えの解消が期待できるのです。

体を温めるときは首・手首・足首の「三首」を重点的に温めましょう。

三首をしっかりと温めることで、効率的に全身に血液をめぐらせることができます。

日常的な動作に軽く負荷をかける

移動や家事など、毎日の生活の中で何気なく行っている動作に、軽い負荷をかけてみましょう。

  • エレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使う
  • 電車ではなるべく座らない
  • 座るときはひざを閉じるようにする
  • 家ではつま先立ちで歩く
  • 洗濯物を干す際は、洗濯物を取る度にスクワットをする

このように、少しだけ「きつい」と感じる動作を生活に取り入れることで、普段よりも体を動かすことができ、冷えの改善につながります。

冷えの改善におすすめのエクササイズ

ここでは、朝起きたときに布団の上でもできる、足首と下半身のエクササイズをご紹介します。

足首のエクササイズ

  1. 仰向けの状態で、布団の中で大きく伸びをします。息を吐きながら、ゆっくり体を伸ばしましょう。
  2. 足首を動かします。つま先をすねにつけるように、上に曲げましょう。ふくらはぎが気持ちいいと感じる程度に伸ばしていきます。
  3. 次は逆に、つま先をピンと伸ばします。
  4. この足首の屈伸運動を、何度か繰り返します。最後に足首をグルグルと回して完了です。

下半身のエクササイズ

  1. 仰向けのまま、大の字をイメージして、両腕を左右に広げます。足は閉じた状態です。
  2. そのまま、腰から下半身をゆっくりとひねります。気持ちいいと感じるところまでひねりましょう。できるだけ上半身は動かさず、息を吐きながら行います。
  3. ひと呼吸置いて、下半身を元の位置に戻します。
  4. この動作を、左右どちらも行います。

起床時、布団の中ではまだ体が半分眠っているような状態です。

この足首と下半身のエクササイズを行うと、体がしっかりと目覚め、活動モードに切り替わります。

内臓や筋肉が活発に動くことで、体内で熱がたくさん作られるようになるのです。

体を冷やさない食事を

冷たい飲み物はなるべく控えて、温かい飲み物をとる習慣をつけましょう。

白湯やスープなどの温かい飲み物を積極的に飲んで、体の内側からじんわりと温めることがポイントです。

また、寒暖差疲労に負けない体力をつけ、免疫力を高めるために、栄養バランスの良い食事を心掛けることも大切。

冬季はさまざまな栄養を一度にとれる、鍋料理がおすすめです。

特に、体を温める効果がある、ニラやネギ、しょうが、ニンニクを使った鍋がいいでしょう。

まとめ

冬季の冷え性や体調不良に悩まされている場合、その原因のひとつは寒暖差疲労にあるかもしれません。

ここでご紹介したような、体をしっかりと温める習慣や対策を生活に取り入れて、寒暖差に負けない健康的な体づくりをしていきましょう!

投稿者 働きたくないおじさんと猫

飲食業、ホテル業、健康産業など、あらゆるサービス業を転々としながら、現在は東証一部上場の大手企業係長を任されている社畜です。  コロナ禍をキッカケに脱社畜を目指すべく、様々なことにチャレンジしております。自分の経験やスキルを活かしてできることは何か?みなさんの不安や悩み事を少しでも解消するようなブログを書いていきます。