子どもの習い事No.1といえば、スイミングスクールが不動の存在です。
- 周りの子ども達も習っている
- 学校の体育の授業に水泳があって恥を書かせたくない
- 子供がスイミングを習いたいと言い出した
- 水難事故にあわないようにしたい
- 親自身が水泳をしていた
- 水泳の選手になってほしい
- シャワーを極端に嫌がる
スイミングスクールに通う期間は平均で4年間が現在の相場です。
子供の成長のためにも、また金額で考えると約30万の投資という意味でも、納得のスイミングスクール選びをしたいところでしょう。
この記事では、スイミングスクールの選び方で悩んでいる方が、選ぶ前に知っておいたほうが良いことを分かりやすく説明します。
この記事を見たあとには、スイミングスクールを選ぶために必要な知識を身につけられているはずです。
スイミングスクール業界とは
スイミングスクール業界(スポーツクラブ業界)は、サービスの違いを出しにくい業界です。
施設について
サービスの半分は、施設使用の対価です。その中でも、プールの形状においての違いは皆無と言えます。
ファミリープールであれば、その形の違いによって他社との差をつけることも可能ですが、スイミングスクールは、「指導すること」が前提です。
上記の理由に示したように、あらゆるニーズに対応するためには、よくある長方形のプールと若干のプールサイド、という作りが合理的なのです。
指導について
水泳選手を育成する「選手コース」と言われる商品の指導に関しては、部活のようなものなので、確かに指導の差がでてきます。
しかし、一般の泳法習得のコースは、正直な話どこで習っても同じです。
つまり、どこで習おうが、ほぼ同じ投資額で、ほぼ同じ期間で、ほぼ同じ成果を得ることができるのです。
後述もしますが、確かにコーチによって指導力の差(進級スピードの差)が存在します。
1万時間の法則
「1万時間の法則(10,000-Hour Rule)」は、心理学者で作家のマルコム・グラッドウェルが提唱した概念で、特定の分野で真のエキスパートになるためには約1万時間の練習が必要だという考え方です。
このアイデアは、グラッドウェルの著書『Outliers(「アウトライアーズ」)』において広く紹介されました。
1万時間の法則は、成功や卓越性には遺伝子や天賦の才能だけでなく、長期間にわたる専念的で集中的な努力が不可欠であるという立場を取ります。
この法則によれば、特定の分野で1万時間以上の練習を積むことで、高いレベルのスキルや専門知識を身につけ、成功につながる可能性が高まるとされています。
上記の法則のように、積み上げた指導時間は、指導力に比例すると考えられます。
私が過去に担当したクラブでは、1日の指導時間の平均を3時間としたときに、指導歴が5年を越えると明らかに退会者の数を減らすことができるという傾向もありました。
人員体制について
スイミングコーチは、学生、主婦、フリーター、社員で構成されます。
それぞれの一般的なキャリアと1万時間の法則とを照らし合わせると当てはめていくと、以下のようになります。
学生コーチ
扶養の範囲内で働くというパターンが多いこと、大学は4年で卒業であることから、1万時間に達することはほぼありえません。
主婦コーチ
扶養の範囲内で働くというパターンが多いこと、子供が小さい場合は多くても1日2時間程度の指導で退社すること、子供がある程度大きくなれば指導時間を増やせることなどから、1万時間に達するためには、約20年は必要です。
フリーターコーチ(女性)
週40時間勤務となれば、指導時間は週約25時間程度と想定できます。約8年で1万時間に到達できますが、高卒あるいは大卒の場合が多いので、26歳から30歳の頃となります。女性の場合は、結婚してやめてしまうことが多く、ちょうど1万時間に達したタイミングと重なります。
フリーターコーチ(男性)
女性と同様に、週40時間勤務となれば、指導時間は週約25時間程度と想定できます。約8年で1万時間に到達できますが、高卒あるいは大卒の場合が多いので、26歳から30歳の頃となります。男性の場合は、この時期になると「このままフリーターでいいのか?」と考え始め、別の仕事を始めたり、正社員として採用してくれる会社に就職したりすることで、やめてしまうことが多いです。男性もちょうど1万時間に達したタイミングと重なります。
女性社員コーチ
女性フリーターコーチと同様のキャリアをたどる場合が多いですが、社員の場合はフリーターの場合のプラス2年くらいは長くなると思います。
男性社員コーチ
男性フリーターコーチと同様の期間で1万時間に達します。しかしその頃はクラブのヘッドコーチを任され始める年齢と一致します。ヘッドコーチになると、コーチの育成や経営のマネジメントをする時間が増え、その分、指導する時間が減っていきます。
スイミングスクールの経営について
企業によって考え方も違うので一概には言えませんが、当然利益を出すことが必要になってきます。
人件費においては、社員にかかるコストは、アルバイトスタッフの倍かかると言われています。
前述した人員体制の話で考えると、1万時間に達する可能性が高い男性の社員コーチがたくさんいれば、指導力が高くなり、他のスイミングスクールとの大きな差として、選ばれるスイミングスクールになると言えます。
しかし、会員数は無限に増やせるわけではありません。
施設に受け入れられる人数にはキャパシティがあるり、さらに、市場にいる子供の数には限りがあるからです。
また、人数に限界があるなら会費をあげればいいという考え方もありますが、いくら良いスクールと言っても習い事にかけることができる金額はそれほど高くなく、会員数を増やしていくことが困難になります。
よってスクールの経営は、アルバイトスタッフの比率を高めてコストを抑制し、一般的な月会費に設定することでより多くの会員を増やす、という判断となるのです。
どこかの資産家が、水泳を広めるためだけにスクールを開講するのであれば、理想のスクールができるかもしれませんが、可能性はゼロに近いでしょう。