スポーツジム経営をする中で、『入会を獲得すること=入会販促』は非常に重要なミッションです。
入会販促の重要なポイントは様々ですが、その中でも、私が最も重要だと経験上考えているのは
『口コミ』です。
今回の記事では、私が全国各地の店舗で入会販促業務を実施する中で導き出した、
『入会販促・口コミ』の方法を紹介します。
入会販促の効果的な方法
入会販促には、以下のようなファクターがあげられます。
- 折込チラシ
- WEB広告
- 紹介入会(内部販促)
- 自社のホームページ
- キャンペーン訴求
- 季節
- ブログ
- 看板
- 情報誌
- SNS
- クチコミ
これらのファクターが複雑に絡み合い、入会を獲得することになります。
複雑というのは、ただの足し算や引き算ではなく、『掛け算』だからです。
『これをやったから入会が増える』という最強のファクターは存在しませんし、『たくさん広告を出したら入会が増える』という単純な計算ではないのです。
例をあげて考えてみましょう
【例1 チラシ×自社のホームページ】
キャンペーンのチラシを商圏全体に折り込んだとしても、自社のホームページでキャンペーンがあることを掲載できていなければ、掲載できていた時と比較すると入会獲得は減る。
【例2 キャンペーン訴求×季節】
12月末ごろに『魅せるカラダ』の訴求をするよりも、『冬太り解消』の訴求のほうがより多くの人に伝わる。
などが、事例となります。根拠は示すことができませんが、なんとなく理解してもらえると思います。
入会販促における人の購買行動について
人が物を購入したり、何かに入会するときの心理や行動を示した、『消費者の購買行動モデル(理論)』は、世の中にたくさん存在します。
AIDMA(アイドマ)の法則
1920年代にアメリカの著作家、サミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された概念です。ユーザーの購買決定プロセスを説明するためのフレームワークのひとつで、以下の単語の頭文字を取って構成されています。
Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Desire:欲しいという欲求
Memory:記憶
Action:購買行動
購買決定プロセスを5つに分解し、ユーザーのモチベーションがどの段階にあるのかを見極めることで、ユーザーに応じたコミュニケーションを行い購買に結びつけることが可能となります。
AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)の違いを解説
AISAS(アイサス)の法則
AISASとは、顧客が購買に至るまでを5つの段階にわけた購買プロセスの一つで、株式会社電通によって提唱されました。AIDMAの考え方をインターネットが普及した現在の消費行動にあてはめたものです。インターネットによる購買行動の主流化に合わせ、電通が提唱したモデルです。2005年6月に商標登録されています。
Attention:注目、商品やサービスについて知る
Interest:興味を持つ
Search:検索
Action:購買行動
Shere:共有する
SNSが普及した今、商品を購入したらブログやTwitter、Facebook、インスタグラムなどに投稿し、友人にシェアするという行動が一般的になっています。モデルなどのインフルエンサーがインスタグラムなどのSNSで商品を紹介すると爆発的にヒットするという現象も起きています。
さらに、何かを探す時はGoogle、Yahoo!などの検索エンジンではなく、SNSを利用するという人も増えてきました。こういった風潮がある中で、「share(共有)」をプロセスの1つとして置いている「AISAS」は、今後のマーケティング戦略を考えるうえで重要なフレームワークだと言えるでしょう。
AIDMA(アイドマ)とは?AISAS(アイサス)の違いを解説
『消費者が商品を認知してから購買するまでの行動モデル』になぞらえた入会販促を実施することで、入会者数を増やすことができるかもしれません。
しかし、店舗運営の最大の課題は『なぞらうための資金がないこと』なのです。
入会販促の効率について
入会販促にはお金がかかります。なので、消費者の行動モデルの中から、『金を集中させる部分』と『あきらめなければならない部分』とが出てきます。
何に集中させて、何をあきらめるか、またどのくらい使うかは、『販促効率』で判断することが多いです。
以下のような指標を使うことが一般的です。
- 売上高販促費率(販促費÷売上)
- 入会獲得単価(販促費÷入会人数)
- 入会者客単価(入会者1か月目の会費合計÷入会人数)
しかし、この指標はあくまで目安でしかなく、入会販促の効率を本質的に判断できる指標ではないと私は考えます。
当然、少ない経費で多くの入会をとることが良いのですが、この指標からは『会員の継続期間』という観点が抜け落ちています。
1年間の予算計画を立て、達成に向けた活動し、その活動を評価するという特性上、このような指標を用いて判断することは間違いではないですが、私が考える『本質的に判断できる指標』として最も大事なのは、『そのお客様が将来的に収める会費合計』です。
年齢、会員種別、居住エリア(クラブからの距離)によって、ある程度の継続期間データを抽出することが可能です。
そのデータを用いれば、将来的に得られる会費がある程度予測できます。
この、将来的に得られる会費の何パーセントが販促費に使われたか?が指標になるのです。
入会販促は、いくら使って、どの様な層の客を獲得できたか?
100万使って獲得ができた会員が、安価な種別100名なのか?フルタイム系の種別100名なのか?
安価な種別は継続期間が短く、フルタイム系種別は継続期間が長いことを考えると、得られる収益は全く違うものになってきます。
つまり、現在よくつかわれている指標とは全く違う結果(判断)になるのではないでしょうか。
効果的な入会販促を維持するために知っておくべきこと
チラシやWEB広告で自社のHPへ誘導できる人数には限度があることを知っていますか?
ある程度の人数に達すると、そこからはいくらお金をかけても増えなくなるポイントがあるからです。
それはなぜなのでしょう。
ある調査で、スポーツクラブというサービス業は会社ごとの特徴が出しにくく、利用者にとって『差がある』と感じるレベルの差別化は難しいことが分かっています。
つまり、『どこのスポーツクラブに行っても同じ』『このクラブを選んだ理由は近いから』という業種なのです。
よって、年間で獲得できる人数は『会員数は自社の商圏範囲人口の4%程度』となるのです。
販促活動というのは、『自社の商圏範囲から他社に流出させないこと』『自社の商圏内の顧客を他業種に奪われないこと』が重要なのです。
まずは、『自陣を守ること』に注力すれば、販促効率が高い状況を維持できます。
入会販促の効果を最大限に引き上げる方法
では、頭打ちになってしまう販促効率を最大限に引き上げるには、どのファクターに注力すればよいのでしょうか。
それは『口コミ・おすすめサイト』です。
理由は簡単です。
スポーツクラブ業界にかかわらず、『物を買うときにはクチコミを確認する』からです。
皆さんも、ネットでものを購入するとき、過去に購入した方の『レビュー』をみますよね。
それと同じです。(※ここでは、口コミサイトやおすすめサイトがどのような意図で作成されているかは、一旦置いておきます。)
『口コミサイト』を分解すると、①『口コミ』の内容 ②自社の『登録』となります。
それぞれの役割は、①自分がした、購入・契約の判断(してもしなくても)をしたことを、正当化する材料として使われ、前項で紹介した『自社の商圏範囲から他社に流出させないこと』『自社の商圏内の顧客を他業種に奪われないこと』にとっても重要です。逆に、正当化ではなく否定される可能性もあり、購買意欲が低下する可能性もある。②クチコミサイトに入ってきた消費者に他の商品が紹介されることで、『他社の商圏範囲から自社に流入させること』『自社の商圏内の顧客を他業種から奪うこと』が起きる可能性がある。
つまりある程度、購入・契約がを決めた状態で『口コミ』に触れる動線と自社と購入・契約を考えていなかった方が『口コミ』に触れることで検討を始めるという動線があるということになりますが、前述したとおり販促は『掛け算』です。
チラシやWEB広告を見る前にしろ後にしろ、『口コミ』によって『1.0』以上の掛け算になるか、『1.0』以下の掛け算になるかなのです。
①に関しては、自社でコントロールが難しく、良いサービスを提供するしかありません。
おすすめサイトなどアドセンス広告やアフィリエイトで収益を上げることが狙いのサイトは、運営者に交渉することで記載内容をコントロールできることはありますが、可能性は低いです。
グーグルマイビジネスの場合は、クチコミへの返信をすることが可能なので、内容次第では悪い口コミを相殺するような返信をすることで、クチコミが1.0以上の力になり、販促効率を引き上げることもできると思います。
②に関しては、ある程度コントロールが可能です。
大手の場合は、こういったサイトを立ち上げる際にお願いしなくても登録されている(利用されている)ことが多いです。
運営者自身が登録の申請をする紹介サイトなどは、自身のジムがない場合は必ず掲載を申請しましょう。
他社の検索をした際に自社も表示されるということは、元々入会獲得できる可能性が『0』だった顧客を獲得できる可能性を高めることにつながります。