最近、BREAKIN GDOWN(ブレイキングダウン)が流行ったことで、『ブレイングダウンは格闘技じゃない』『ただの喧嘩』『大きく分けると格闘技』など、様々な議論がTwitter上で展開されています。
元K-1選手の武尊が、『子供に悪い影響を。。。』みたいな発言をしていたのが、印象的でした。
私自身は、試合を見るか見ないかは、個人の自由ですし、正直どちらでもいいと思っています。
今回の記事では、『この議論についていきたい!』と思っている人が、なんとなくでも格闘技の種類や違いについて語ることができるようになるための説明をしていきます。
格闘技と喧嘩の違いって何?
格闘技の種類の前に、「格闘技と喧嘩の違いとは何なの?」を考えなくてはなりません。
「答え」としての正解は、おそらく存在しないので、様々な情報を整理していきましょう。
格闘技とは
格闘技(かくとうぎ)とは、自身の体での攻撃、防御を行う技術、もしくはスポーツ、あるいはそれを基にした興行のことである。
出典元:Wikipedia:格闘技
喧嘩とは
個人と個人による争いの中でも、裁判に持ち込まれないもののこと 。 英語訳ではその様態に応じて、fight(激しい口論、取っ組み合い)、brawl(大声で争う)、quarrel(口げんか) 、dispute(仲たがい)などが相当する 。
出典元:Wikipedia:喧嘩
興行とは
興行(こうぎょう)とは、芝居やコンサート、スポーツイベントにおいて、鑑賞、観戦を主な目的とした観客を集めることを目的とした催事を指す。外観上では同じであっても、主催側が飲食物の提供や集客のために催す場合(ナイトクラブや百貨店)もあり、また学術目的や教育目的の場合は興行とはされない。
出典元:Wikipedia:興行
スポーツとは
スポーツ(アメリカ英語: sports、イギリス英語: sport)は、一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする身体活動などの総称である。
出典元:Wikipedia:スポーツ
これらの情報から総合的に判断すると、格闘技と喧嘩の違いのポイントは以下のようになると考えてよいでしょう。
- ルールがあるか
- 観戦目的で観客をあつめる催事か
- 戦うことで収益を得ているか
しかし、You Tubeで広告収益を得られることもあることなどから、SNSの発展により、元々は「喧嘩」と定義されていたものも「格闘技」と呼べるようになっていくかもしれません。
よって今後は、上記のポイントを満たす場合は「格闘技」、満たさない場合は「喧嘩」、と定義したら良いのではないかと私は考えます。
格闘技の種類ってどんなものがあるの?
2022年の年末では、地上波での放送はなくなりましたが、格闘技の放送は十数年間、年末の風物詩となっていました。
格闘技に興味を持ち始めた人や始めてみようかなと思っている人にとって、最初に生まれる疑問が、「そもそも格闘技の種類ってどんなものがあるの?」ということです。
格闘技の種類は、星の数ほどあると言っても過言ではないほど膨大です。
世界の多くの人に認知されているボクシングから、南アフリカのングニ棒術まで、数えるとキリがありません。
この項目では、格闘技を大まかなカテゴリーで分けて、それぞれを説明していきます。
格闘技は、体のどの部分を使うか?どのように使うか?という観点で、大きく分けると3種類に分類できます。
- 打撃系
- 組技系
- 総合系
それぞれの代表的な格闘技の種類は以下の通りです。
打撃系格闘技
打撃系格闘技はパンチや蹴りなどの打撃を相手に当てて、倒すことを目的とした実戦的な格闘技です。打撃系格闘技に分類される競技の中では、以下のものが有名です。
- 空手
- テコンドー
- カンフー
- ボクシング
- ムエタイ
- キックボクシング
- カポエイラ
組技系格闘技
組技系格闘技は打撃が禁止されており、相手と組み合って行う格闘技のジャンルです。相手を投げたり、抑え込んだり、関節技や絞め技を極めて降参させるなどの競技がこれに当てはまります。組技系格闘技に分類されるもので、有名な競技は以下のようになっています。
- 柔道
- レスリング
- 相撲
- 合気道
- ブラジリアン柔術
総合系格闘技
総合格闘技は、打撃や投げ技、絞め技や関節技などが認められた何でもありの格闘技です。打撃系格闘技と組技系格闘技を組み合わせたものが、総合格闘技と言えます。総合格闘技に分類される競技には、以下のようなものがあります。
- 少林寺拳法
- 日本拳法
- ヨーロピアン柔術
- 修斗
- MMA
たくさんありすぎて何が何だか。。。となりそうですが、それぞれをちゃんと説明できる人はほとんどいません。
格闘技の団体ってなに?
格闘技に興味を持った方が、「種類って?」を理解した次に立ちはだかる疑問は、「格闘技団体って何?」という疑問です。
比較的認知度の高い「キックボクシング」の団体一覧を見てみましょう。
- K-1
- RISE
- Krush
- KNOCK OUT
- RIZIN キックボクシング
- 新日本キックボクシング協会
- シュートボクシング
- NJKF(ニュージャパンキックボクシング連盟)
- MAキック
- Bigbang
- Hoost Cup
- HEAT
- INNOVATION
- DEEP KICK
- REBELS
- J-NETWORK など
数え上げるときりがないのですが、その違いは何なのでしょうか?
簡単に言うと、「団体=大会(試合)を運営する組織」であり、その違いはルールやコンセプト、契約内容の違いです。
キックボクシング業界で特に有名な団体は、武尊(たける)選手が所属していた「K-1」と、那須川天心選手が所属していた「RISE」「RIZIN」です。この二人が戦った「THE MATCH 2022」は、世紀の一戦として日本中を熱狂させましたね。
次に、「K-1」「RISE」「RIZIN」、この3つの団体の違いを見ていきましょう。
ルールについて
K-1
- ワンマッチ 3分3ラウンド 延長は1ラウンド
- トーナメント 3分3ラウンド 延長は1ラウンド
- 頭突き、ヒジ、グローブ有効箇所ではない手首、前腕部、上腕部、肩による攻撃、金的への攻撃、レスリングなどの投技、関節技、サミング、喉へのチョークは反則
RISE
- K-1のルールに準ずる
RIZIN
- ワンキャッチが認められてる(試合中に一回だけつかんでの攻撃があり)
コンセプトについて
K-1
「K」は「空手」、「キックボクシング」、「カンフー」、「拳法」などの立ち技格闘技あるいは「格闘技」そのもの、そして「KING」の頭文字を意味し、1はナンバーワンを意味しており、空手やキックボクシングなどの打撃系立ち技格闘技の世界一の最強の格闘者を決める大会を行うというのが設立のコンセプトである。
出典元:Wikipedia:K-1
RISE
RISEは“昇る、上を目指す”を意味する
出典元:RISE(ライズ)立ち技打撃格闘技 オフィシャルサイト:RISEとは
スピーディー、アグレッシブをコンセプトに強者を集め、最強を決める!
ライブ感を重視して観客も熱狂。
まさに誰もが興奮出来るリアルファイティングエンターティメント!
RIZIN
一、「完結」キャリアにピリオドを打つファイターたちのために、最期を飾るに相応しい熱のある舞台を築き上げること。
一、「息吹」次代の格闘技界を担う才能と野心のあるファイターたちがその魅力を存分に発揮し、飛躍できる舞台を創造すること。
一、「未来」格闘技フェデレーションとして世界各国に林立するプロモーションとアライアンスを組み、それぞれの団体が各国の文化や慣習を反映したその独自色を保ったまま、プロモーションの枠を超えて最強を競い合う枠組みと舞台を確立すること。
RIZIN FIGHTING FEDERATION は、この3つの基本理念(三本の矢)を掲げ、「永遠に昇り続ける、輝き続ける舞台」を目指し、創り上げていきます。
出典元:rizinff – RIZIN FIGHTING FEDERATION オフィシャルサイト:ビジョン
契約について
各団体の契約内容の詳細は公開されていませんが、選手と団体が専属契約を結んで複数の試合を保証したり、その代わりに他団体での試合を禁止する場合などがあります。
「THE MATCH 2022」では、ルールの壁や契約の壁といった団体の壁を乗り越えて実現したことも、多くの注目が集まった理由です。
格闘技の全体像はコンビニで例えると分かりやすくなる
ここまで団体について説明してきましたが、まだピンと来ていない人のために「コンビニ」で例えてみると、話が分かりやすくなるかもしれません。
- キックボクシング=コンビニエンスストア=小売りの業態
- 団体=セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート=商品を売っている企業
- 選手=ポテトチップス、ポッキー、ガリガリ君=商品)
こんな感じで認識すると分かりやすいと思います。
いま人気の格闘技団体って何?
格闘技に関する理解度が高まったところで、次は「いま人気の格闘技(興行、団体)」について説明していきましょう。
習いごととしての格闘技の人気、興行としての格闘技、有名人が多い格闘技など、「人気」の定義によりますが、この項目では興行としての人気格闘技を紹介します。
「人気=最も強い」というわけではなく、注目度の高さ(トレンド入りするなど)や収益性の高さ(ファイトマネーが高い、ビジネスとして成り立っている)などを総合的に勘案しています。
打撃系格闘技:キックボクシング:K-1
キックボクシングは、攻撃方法がパンチとキック、ヒザ(ヒジ)を使います。様々な団体があり、団体によって細かいルールは違います。多いのは3分3ラウンド制です。
日本でもっとも有名なキックボクシングの格闘技団体は、その歴史からも「k-1」であるといえるでしょう。
K-1で有名な選手(引退した選手を含める)
- 武尊(たける)
- 魔裟斗(まさと)
- 安保瑠輝也(あんぽるきや)
- 芦澤竜誠(あしざわりゅうせい)
K-1が最も盛り上がっていた時代には、元力士の曙、タレントのボブ・サップやボビーオロゴン、俳優の金子賢など、様々な業界からも参戦していました。
一時期は、年末のテレビ放送があるなどの高い人気を誇りましたが、財政難に陥ったこともあり、現在の人気は当時ほどではありません。
体制を一新した近年では安定してきているようでしたが、2022年に行われた「THE MATCH 2022」では、「RISE」と「K-1」の対抗戦のような状態となり、「K-1」が負け越すという構図となりました。
このことが原因かはわかりませんが、最近では、有名選手の脱退や他団体への移籍が続いており、今後の動向が注目されています。
打撃系格闘技:ボクシング:WBA・WBC・IBF・WBO
ボクシングは、手にグローブをつけパンチのみを使い、相手の上半身(前面)と側面のみを攻撃できる格闘打撃系格闘技です。相手を攻撃しながら自分が攻撃されないようディフェンスも行います。
主要な団体は、WBA、WBC、IBF、WBO、の4つの団体です。この4つの団体は主要4団体と呼ばれ、各階級にはそれぞれの団体が認定する世界チャンピオンがいます。
「どの団体が最も強いのか?」という議論がよくされます。答えはありませんが、各団体の王者同士がお互いの王座をかけて戦う、「王座統一戦」という試合が組まれることがあります。
ボクシングで有名な選手(引退した選手を含める)
- 井上尚弥(いのうえなおや)
- 村田諒太(むらたりょうた)
- 竹原慎二(たけはらしんじ)
- フロイド・メイウェザー
最近では井上尚弥が、史上9人目、アジア人初の主要4団体統一王者となり、今後の動向が世界中から注目されています。
オリンピックの競技にもなっていることから、世界的に人気の高い格闘技となっており、格闘技というよりはスポーツとして進化してきた歴史があります。
総合系格闘技:MMA:RIZIN(ライジン)
MMAは、英語でMixed Martial Artsと表記し、MMAと呼ばれています。他の格闘技との大きな違いは、ルールが幅広く、自由度の高い戦い方ができるところです。
パンチ、キック、ヒザ、ヒジによる打撃だけではなく、投げ技、寝技、締め技、関節技なども使うことができ、様々な戦い方を見ることができるという点で他の格闘技と比較すると楽しみ方が多いのが魅力です。
ボクシングやキックボクシングでは、厚みのあるグローブを着用しますが、MMAでは素手に近いオープンフィンガーグローブを着用します。
要は、何でもありの格闘技で、ルールがある喧嘩と言えるでしょう。
MMAの大会を主催している団体で最も有名なのが、「RIZIN」です。2021年の年末まで、数年間は年末の風物詩としてテレビ放送もされていました。
RIZINで有名な選手(引退した選手を含める)
- 朝倉未来(あさくらみくる)
- 朝倉海(あさくらかい)
- 堀口恭二(ほりぐちきょうじ)
- 平本蓮(ひらもとれん)
「RIZIN」はフェデレーション団体なので、色々な団体と連携しており、実力のある選手、話題性のある選手で対戦カードを組みます。プロモーションや演出、煽り動画のセンスが高く、試合以外の部分でも魅力的な興行となっています。
このことから、多くのスポンサー収入得ることが可能となっており、その分、選手にも他団体よりも多くのファイトマネーを支払うことができています。
ファイトマネーが高いので、強い選手や人気のある選手が「RIZIN」に出場することを目指すようになり、結果として最も人気のある団体となっています。
そして、「RIZIN」の人気だけではなく、ここ数年間の格闘技全体の人気をいっきに加速させたのが、格闘家の中で最も有名といえる「朝倉未来」です。
現在、You Tubeの登録者数は300万人を超えており、再生回数と登録者数を、『街の喧嘩自慢対決(街にいるヤンキーとジムでスパーリングをするという企画)』などで伸ばしてきました。
他の多くの格闘家が、朝倉未来の真似をするようになり、YouTubeやSNSを活用し始めたことで、格闘技界隈の状況が大きく変わりました。
打撃系(組技系)格闘技:キックボクシング、MMA:ブレイキングダウン
「RIZIN」の人気選手である「朝倉未来」が発起人の1人となっている格闘技イベントが、「BREAKING DOWN(ブレイキングダウン)」です。
朝倉未来本人が考案した「1分間最強を決める」というテーマで、喧嘩自慢・プロ格闘家・元大相撲・ラガーマンなどが、キックボクシングやMMAで激突するというもので、YouTubeを中心に大バズりしています。
書類選考→オーディション→試合決定→試合、という流れなのですが、参加希望の選手の目的は「有名になりたい」「嫌いな人を倒したい」「〇〇を勇気づけたい」など、様々な背景やストーリーを背負って応募してきます。
この流れの中で最も重要なのがオーディションで、トラッシュトーク(口喧嘩)だけではなく、乱闘になることもあります。視聴者は参加者のストーリーを知ることで、より試合に興味が湧いてきます。
ブレイキングダウンで有名な選手
- 飯田将成
- バン仲村
- 瓜田純士
- こめお
- 鈴木大輔(10人ニキ)
試合時には毎回トレンド入りするほど人気のコンテンツとなっていますが、ブレイキングダウンは「格闘技だ」とか「格闘技じゃない」とか、常にSNS上では議論されています。
面白ければいいのでは?というのが大半の意見のようですが、「格闘家」と名乗る人達にはとても評判が悪いように思います。
この記事では、格闘技と喧嘩の違いや、格闘技の種類や団体、今人気の格闘技団体を紹介してきました。
これで、格闘技談義の輪に入れそうですね(笑)