今回は『タイムを1秒縮めるための方法』を皆さんにお伝えしていきます。
マスターズスイマーでもジュニアスイマーでも「1秒でも早くなりたい」というのは、すべてのスイマーにとっての願望なのではないでしょうか?初心者の方から上級者の方まで、誰でも実践できる方法を紹介します。
コーチの皆さんにとっても、指導に役立つかと思います。ぜひご一読ください。
水中テクニックについて
日々の練習の『癖』が試合に出てしまうので、日頃から意識できるようにしていきましょう。
浮き上がり
- ストリームラインの際、肩の力はしっかり抜く
- ここで身体の力みをつくらない
- スタートしてキックを打ち、ストロークが始まる直前にキックを止めない
- ひとかきめで呼吸をしない
- スピードに乗ったところで、スピードダウンさせない
- 急上昇しないよう徐々に斜め上に上がるイメージ
ターン
- バタフライ/平泳ぎ:両手タッチをしたらしっかりと壁を押して方向転換
- ここは休憩する場所ではない。(笑)
- 自由形、背泳ぎ:頭の重さを利用して回る
- しっかりと頭を入れて(おへそを見る)、小さく速く回転する
- 陸上でジャンプするときのイメージで壁を蹴る
- ターン後の浮き上がりは【浮き上がり】と同じ
タッチ
- 手が壁にタッチをするまでは、キックを止めないで打ち続ける
- ここでキックが止まると、急激にスピードダウンする
- 手が壁にタッチするまでは、頭を上げない
- 先に頭が上がると、体重が後ろにかかりスピードダウンに繋がる
以上、ざっと記載しましたが、細かいところでもこれだけ気を付けなけばいけないことがあります。
全てを意識するのは難しいという方は、一つずつで構いません。「今日は浮き上がりの日、明日はターンの日」という風に意識してみると良いと思います。
水着の選び方
最近の水着はスタイリッシュでかっこいいと思う反面、ブイパンツタイプを見ることがなくなり、少し寂しく思います。(笑)
水着の種類
競泳用水着と一言にいっても、種類は多彩です。
【目的別】
- 競技用
- 一般競泳用
- 練習用
【形状別】
- ボックスタイプ
- スパッツタイプ
- ブイパンツタイプ
【メーカー別】
- スピード
- ミズノ
- アリーナ
- アシックス
競技用水着の歴史
私が若かった頃は、あまり水着に注目が集まっていなかったように思います。
特に水着に注目が集まったのは、2007年頃から。
ご存知の方も多いかと思いますが、競泳界でスピード社が出した、【レーザーレーサー】と呼ばれる高速水着が流行しました。
レーザー・レーサー(LZR Racer)は、イギリスのSPEEDO社が開発した競泳用水着である。2008年に入り、この水着を着用した選手が次々と世界記録を連発した。
引用元:レーザー・レーサー – Wikipedia
その効果は絶大で、多くの種目の世界記録が塗り替えられていきました。そして、多くのメーカーが競い合い、高速水着を開発していきました。
その行き過ぎた競い合いの結果。。。
水着にばかり注目が集まってしまい、選手に目を向ける為に、2010年4月から高速水着に規制がかかりました。
規制はかかったものの、現在でもレーザーレーサーは進化しており、FINA承認(規定をクリアした)のレーザーレーサーも販売されています。
スピード speedo Fastskin LZR Racer J SD78C03 メンズ ファストスキン レーザーレーサージェイ ジャマー スパッツ トップレーシングモデル FINA承認モデル 価格:18,800円 |
価格:27,800円 |
余談ですが…レーザーレーサー含め、この時代の高速水着は、着るのにものすごく時間がかかりました。男性では30分、女性では1時間ほどかかっていたそうです。
競技用水着の規定
規定は以下の通りです。
『日本水泳連盟ならびに加盟団体が主催する競技会(公式競技会)と公認された競技会(公認競技会)において着用する水着は下記の通りとする。』
(1) 水着の形状(身体を覆う範囲)は次の通り。
財団法人日本水泳連盟公式HP
イ) 男子はへそを超えず、膝までとする。
ロ) 女子は肩から膝までとする。ただし首、肩を覆うことはできない
(2) 重ね着は、禁止。着用できる水着は一枚のみとする。
(3) 水着あるいは身体へのテーピングは禁止とする。
(4) 素材は繊維のみとする。(ラバー及びパネルを貼ったものは不可)
私は規制をかけるのは正しい選択だったと思います。現在は、各メーカーの個性が出ていますし、高速水着時代の記録も更新できています。
現在注目の水着
目的や年齢などで、オススメする水着は変わってきます、現在注目の水着はこちらです。
【GX SONIC5】
ミズノ製の2020年最新モデルになります。
価格:27,720円 |
価格:39,402円 |
最先端技術で撥水性能の向上。水中軽量を実現。水中軽量感は20%UPしています。
短距離向け、中長距離向けとタイプ別となっているので、購入の際はご注意を。
先ほど、各メーカーの個性が出ていると言いましたが、ぶっちゃけ最近はミズノの一人勝ちかなと。。。
選手(子ども)のほとんどがミズノのGXシリーズを着用しています。
オススメの競技水着
もちろんGXシリーズはオススメなのですが…王道が嫌な人にはこちらをオススメします。
【TOP iMPACT LINE SiN 2020】
アシックス社の2020年最新シリーズです。アシックス社は現在のミズノ社製品が流行する前に流行していました。ミズノ社製品が増加傾向の今、王道が嫌な人はTOP iMPACT LINE SiN 2020
もちろん、有名なアシックス社のトップ商品になるので、誰も着ていないということはないと思いますが、質も落としたくないという方はTOP iMPACTで勝負しましょう。
価格:23,265円 |
価格:32,180円 |
見た目もいいですよね。おじさん好み?若い子もかっこいいと思うかは、不明です。あくまでおじさん目線です。(笑)
そして、最後に。
競技会で招集所までの過ごし方
レースの5時間前 起床
まずは頭をしっかり起こします。
「早っ!」と、この時点で諦める人もいるかもしれませんが(笑)そのためには早く寝ましょう。こういう調整も1秒を縮めるためには必要です。
レースの4時間15分前 体操
外で体をしっかり起こします。レース直前に体を動かそうとしてもなかなか動きません。
これといった動きはありませんが、全身の血流量が増えるような動きを取り入れましょう。
レースの4時間前 朝食
ごはん(白米)中心に、消化の良いもの摂るようにしてください。基本的には油物は食べないでください。間違ってもげんを担ぐためにカツ丼とか(笑)は駄目。
かの有名な日本人メジャーリーガーは、カレーを食べているようですが、またそれは別の話です。
スポーツによってメンタルの部分で競技力に差が出ることは確かにありますが、競泳においてはフィジカルな部分に重きをおきましょう。
レースの3時間前 会場入り
アップまでの時間でストレッチ・軽めの補強を行い軽く汗をかくようにします。マスターズの大会などではここがおろそかになりがちです。仲間とのおしゃべりはほどほどに。
おしゃべりもひとつの醍醐味ですが、、、試合終了後の打ち上げまでとっておきましょう。
レースの2時間30分から1時間30分前 ウォーミングアップ
脈上げをしっかりと行います。目安は、最大心拍数(220引く年齢と言われています)の85%程度としましょう。
アップ後はユニホームに着替え、ストレッチや軽めの補強で体が冷えないように過ごします。
レースの30分前 招集
この時間に遅刻しないようにしましょう。地方の大会だと、融通きかせてくれるところもありますがそうならないところも。
実は私自身も遠方の大会で、「招集漏れ」をしたことがあり、本当に残念な気持ちになりました。
招集所では、心理戦が始まります。
ここで何をやろうがあまり結果は変わりません。(オリンピアンなど、トップクラスで0.01秒を争う人達には大事ですが。。)
怖いのは、雰囲気にのまれて緊張しすぎることです。私も経験がありますが、なぜか周りが速そうにみえてしまいます。
緊張状態のままレースに入ってしまうと、頭が真っ白になってスタートでミスをしたり、泳法自体を間違えてしまうこともあるのでリラックスする方法を持っておくと良いと思います。
実は周りの人も同じ気持ちなので、本当はあんまり気にしないほう良いです。
それでも、周りにプレッシャーをかけて少しでも自分を優位に立たせたいなら、体中をバシバシ叩いてみてください。「それっぽい動き」をするだけで何となく優位にたった気になれます。それで自分が落ち着けるならありですね。
レースの0分前 レース
あとは泳ぎ切ぎきるだけです。特に気をつけることをまとめると、
- 朝食では脂っこいものをさける
- ウォーミングアップの前に軽く汗をかくぐらい体を動かしておく
- ウォーミングアップではしっかり脈をあげる
食事のポイント
スイマーにとって、試合数日前・レース前は食事を気にしている方も多いと思いますが、普段の食事もおろそかにしてはいけません。
肉だけではなく魚を摂る、炭水化物のみではなくビタミンを摂る為に野菜も食べるなど、主食、野菜、肉・魚貝類、牛乳・乳製品、果物と様々な食物のバランスを考えて食事をとることが大切です。
バランスのとれた食事というのは、ダイエットだけではなくトレーニングにおいても欠かせない大切なポイントです。
健康な体を維持するためにも身体を鍛えていくためにも試合前の食事だけではなく、普段からトレーニングの一環としてしっかりと栄養を考えた食事を心がけていただきましょう。
ここからは試合前の食事についてです。試合まで1ヶ月を切った時期には、普段以上に食事に気をくばりましょう。
1ヶ月から2週間前
バランスを重視して様々な食物を食べる。ビタミンAが多く含まれるレバーや卵を摂ること、ミネラルを多く含む小松菜やホウレンソウが良いと言われています。
また、この時期にはたんぱく質も摂り、筋肉が衰えないように肉や牛乳、豆腐などのたんぱく質を摂取し、コンディションを整える必要があります。
2週間から1週間前
試合まで1週間と迫ってきた時に摂るのが良いとされるのは、たんぱく質と脂質です。主食でお肉食べたり、しっかりと栄養価の高い食事を心がけます。
ただし、この時もビタミンやミネラルが不足しないように注意するにゃ。
1週間から3日前
この時期は、脂質を多めに摂取し、エネルギーの元となるグリコーゲンを多く蓄えますたんぱく質を減らし、疲れを残さないためにもビタミンを摂取します。ごはんや、パン、麺類などの糖質と共に果物を摂ることをおすすめします。
試合前日
食事の内容は、3日前と変わらずに糖質と脂質を摂るようにします。
栄養面だけで言えばこういった食事になりますが、アスリートはゲン担ぎで前日の夕飯を食べることも多くあります。自分の好きな物だったりすることが多いのですが、前日にはそのような食事を摂り活力を得るのも良いとされています。
試合当日
当日、早朝から試合があったとしても決して食事を抜くことは考えてはいけません。
しかし、消化の悪いものを食べるのはよくないので、バナナやヨーグルト、おにぎりなどの軽い食事にしましょう。
必ず、レースの2~3時間前には食事を済ませておきましょう。試合に合わせ、レース前の食事や普段の食事に気を配ると、タイムも変わってきます。
無理な食事制限やストレスを感じてしまうような食事では、逆効果になることがあるので、できる範囲から始めてみましょう。更なるパフォーマンスの向上が期待できます。
ストリームラインのためのコンディショニングについて
ストリームライン
水泳をやっている人なら、誰でも耳にしたことがあるワードです。水中での姿勢はこのストリームラインがとても大切です。
- 「タイムを速くしたい!」
- 「疲れずに長い距離を泳ぎきりたい!」
- 「ケガせずに長く水泳を続けたい!」
水泳では、理想的なストリームラインを水中で維持することが必要であり、それを身につけるためには、プールでたくさん泳ぐことだけではなく、陸上での練習も不可欠です。
コンディショニングについて
ストレッチは筋肉を活性化し、柔軟性と可動性の向上を進めることができます。
ストレッチには2種類あり、練習前や試合前は動的ストレッチ、練習後や試合後は静的ストレッチを行いましょう。それぞれのストレッチには異なった特徴と効果があります。
動的ストレッチ
腕や脚を様々な方向に動かしたり、ねじったり、曲げ伸ばしたりして、関節を動かしながら筋肉を伸ばすストレッチ。関節可動域が広がり、身体がスムーズに動くようになり、パフォーマンス向上に繋がります。筋肉の緊張を和らげることができるので怪我のリスクを軽減できます。
静的ストレッチ
筋肉を一方向にゆっくりと伸ばし、20秒~30秒キープします。運動時に使用した筋肉の緊張を和らげ、筋肉疲労の緩和に繋がると言われています。
ドローイン
コンディショニングとは、水泳で必要なカラダの動きをひとつずつ分解しながらより良い動きを引き出すための方法です。例えば、比較的手軽にできるものでは体幹トレーニングのドローインがあります。簡単に言うと、お腹をへこませたまま呼吸をするエクササイズです。
- 膝を立てたまま床に仰向けになります。
- 息を吸ってお腹を膨らませます。
- ゆっくり息を吐きながらお腹をへこませていきます。
- お腹をへこませた状態を10秒~30秒キープします。
- キープしながら自然な呼吸を繰り返します。
以上の動きを意識して行う事で理想的なストリームライン作りに必要なインナーマッスルである「腹横筋」を鍛えることができますので、水中での姿勢維持に繋がります。
しかし、プールでの練習前後やオフタイムにこれらを行うことは少ないのではないでしょうか。
正しい姿勢で泳ぐためには、カラダもその準備ができていないとなりません。ストレッチやコンディショニングを実施することで、ケガの予防にもなります。実際にトップ選手のほとんどや、マスターズ水泳で好記録を残している方は、陸上でのトレーニングも時間をとって行っています。